2023,5月末、初夏、ceroとフィッシュマンズ

Ceroの5枚目となる新譜がTLで絶賛されているが、俺はそもそも彼らに入れ込むことができなかったので、この休みの日に本格的和解(サマーソウルとだけは和解済)を試みるか、まずは『Obscure Ride』から…!ということで午前中からずっと聴いた。間に洗車を挟みつつ。

『Obscure Ride』、イエローメイガスを聴き直した印象は「これはレディオヘッド的に現代に警鐘を鳴らしているのではないか」という感じで、(レディオヘッドの歌詞を深く読み込んだことはないが)言ってしまえばceroを「シティ・ポップ・リヴァイバルやディアンジェロ以降から生まれたこの国のレディオヘッド」だと結論づけてしまった。

本作は音楽的にはファンク・ソウルでその気持ち良さはここ数年スティーリー・ダンマイルス・デイヴィスのラストアルバム、アシッド・ハウスなどを聴いてきた俺の耳がようやく追いついたのだと思った。ディアンジェロとは和解していないがスライの『暴動』とは和解したし、グレイプバイン「ねずみ浄土」もリピートしていたし、あとceroがもつエキゾチズム、アフロ的感覚も最近アフロキューバンジャズに興味が無くも無い俺のモードもあり、スチャダラパーサマージャム95」をリピートした夏もあったし、そう、全て、全てが繋がってきた。

 

しかし歌詞解釈は難しい。とはいえキーワードをちりばめて同一世界の短編集としてまとめるテクニックは興味深い。本当に「対峙」しないと理解出来ない、これをダンスアルバムとしてや生活のBGM的に楽しめる人は凄いな(いや楽しめる、今日は楽しんでいる日でもあったのだが)という考えはより強固になったかもしれない。

歌詞について、このブログ記事を再読したりしてたのだが、ほんと?みたいな気持ちでも読んでいたのだが、↓

cero 『Obscure Ride』(Raw) - いまここでどこでもない

次作『POLY LIFE MULTI SOUL』での公式サイトインタビューで「Obscure Rideは生きてる世界から死んでる世界にフェードアウトしていく話だとして…」とさらっとバラしていて「おいおいおい!!そこで明言すんの?」と思った。

cero / POLY LIFE MULTI SOUL 特設サイト

単純に「影の無い人」は死者で、純粋にトトロの都市伝説的(メイに影が無い=既に死んでいるという都市伝説。実際はデマ)に考えて良いんだな、と。死者、生まれ変わり、だから前世の記憶が無い。

まぁ、ジブリって常に死者と生者、自然界と人間界を越境する話なのでジブリっぽいテーマだなと歌詞読んでて思ったけど。

 

んで、夕方から用事があって車を走らせたのだけど、今なら理解できるかもと思ってフィッシュマンズの『宇宙』というベストアルバムのディスク2をカーステで聴いたんだがバッチリ「理解」して、うわ~~~、ceroと真面目に対峙していく副産物としてフィッシュマンズの解像度上がってた~~~ラッキー!って思った。このディスク2、リミックスやデモバージョンが入っていて、それが余計に実験度高く思えるんだけどそれがceroとリンクするような感覚もあって。ま、フィッシュマンズとも既に和解はしてたんですが、深く入り込めてない後ろめたさはずっとかかえていて。

 

『Obscure Ride』を理解するには『My Lost City』を理解することが必要っぽいので今聴いてるし、はやくその次、そして新譜に行きたいナ。しっかし、こんなに真面目にひとつのアーティストの音楽を聴くの久しぶりだよ。

 

あと、このキーワードちりばめコンセプトアルバムのやり方が凄く、あと地下駐車場で聴いたフィッシュマンズの夏っぽい感覚がすごくって、自分の創作に繋がるようなインスパイアが湧き上がってきてそれも収穫だった。